変形性膝関節症

膝の痛みを起こす病気で最も多いのが、膝関節の軟骨がすり減って骨が変形する「変形性膝関節症」。
加齢に伴い軟骨の弾力性が損なわれると、О脚(X脚など)の骨格、使いすぎ、体重による負荷などが原因で、動いているときや、膝に体重がかかっているときに痛むことが特徴です。

大腿骨内顆骨壊死、脛骨内顆骨壊死(骨壊死)

体を動かさなくても膝が痛んだり、夜間寝ているときに痛みが増す場合、「大腿骨内顆骨壊死、脛骨内顆骨壊死(以下、骨壊死)」が考えられます。
骨壊死は、弱くなった軟骨下骨(軟骨の土台になっている硬い骨)に軽微な外傷によって微小骨折が生じ壊死が発症すると推測されています。病気の進行に伴ってだんだん痛みが増す変形性膝関節症とは異なり、骨壊死は、突然、痛みが出ることが多くあります。

手術か?手術以外か?

保存療法

保存療法にはいくつかの種類があり、一つは薬を使った治療です。炎症や痛みを抑える薬を使ったり、関節内での潤滑油の役割を果たすヒアルロン酸を関節内に注射するなど。
このほか、膝を保護するサポーターや、外側を高くした足底装具を用いる「装具療法」、関節や関節周辺の筋肉を鍛える「リハビリテーション療法」、温めることで痛みを和らげる「温熱療法」が、保存療法として行われる治療です。
これらは、いわば ”痛みをごまかす” 治療。ごまかしが効くうちはいいのですが、効かなくなった時にどうするのか?
そこで、もう一つの治療法である手術が選択肢として挙がります。

手術療法

手術には、①骨を切って荷重軸を矯正する「骨切り術」、②人工関節に取り換える「人工関節置換術」の主に二種類があります。
このうち、人工関節置換術は、膝関節のすべてを人工関節に取り換える「全置換術」が一般的ですが、膝関節の一部のみを取り換える「片側置換術」という方法もあります。
日本人はО脚の人が多く、体重が膝の内側に集中してしまって、内側の関節を痛めている方が多いです。そこで、痛んでいる内側の関節だけを人工関節に取り換えようというのが、片側置換術です。
片側置換術は、全置換術に比べて、骨の切除量が少なく、筋肉(大腿四頭筋)を傷つけないため、手術後の回復が早いというメリットがあります。片側置換術を受けた患者さまのなかには、手術が終わったその日から歩ける方もいるほどです。
また、手術後、適切にリハビリを行えば、痛みが出る前と同じくらい、膝を曲げ伸ばしできるようになります。一週間ほどで歩行が安定し、1~2か月で元の生活に戻れるようになる方がほとんどです。
ただし、片側置換術は、重度の変形性膝関節症、骨壊死では行えません。外側の関節は傷んでいないこと、膝をしっかり伸ばすことができること、靭帯には異常がないことといった条件があり、適応範囲は狭いのです。
また、全置換術、片側置換術ともに、人工関節を入れるということは、どんなに気を付けても、感染や肺塞栓(血液のかたまりなどが肺動脈を塞いでしまうこと)のリスクをゼロにすることはできません。手術を受けるときには、そのことは理解していただきたいと思います。 

よくある質問と回答

症状について

Q:お年寄りだけがなる病気ですか?

A:そうとは限らず、50歳代から症状が出ることもあります。

Q:サポーターやサプリメントなどで痛みが治まったので大丈夫ですか?

A:一時的に痛みは治まったとしても、原因を特定したうえで、適切な対処や治療を行うことが大切です。

Q:時々痛くなる程度なので病院へ行かなくても平気ですよね?

A:早期の正しい診断が病気の悪化予防につながります。青木病院ではMRI検査などの機器で正確に判断していますので受診をおすすめします。

保存療法について

ハムストリングス運動Q:ヒアルロン酸の効果は?

A:関節の痛みを抑える、炎症を抑える、関節の動きをよくする、軟骨の摩耗を抑える、などの効果があります。

Q:運動療法を教えてください。

A:ひざの痛みの予防や治療にも役立つ運動療法はこちら・・・

人工膝関節手術について

Q:どのような人が対象ですか?

A:ひざ関節の損傷が激しく、日常生活に支障をきたすほどの痛みを持った人が対象です。

Q:手術の効果は?

A:ほとんどの人は痛みが大幅に改善し、関節の動きがよくなり、日常生活が楽になります。

Q:人工ひざ関節はどれくらい持つのですか?

A:手術から15年経過した後も96%以上の人工ひざ関節が機能しています。調子が良くても人工関節のゆるみなどの問題が出ることもあるので、定期的に受診してください。

 

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